伝統と共に生きるベトナムのライスペーパー職人

ライスペーパーは生のままの魚を巻いたり、豚肉を巻いて揚げたり、火で炙ってクラッカーのように酒のつまみにする等、様々な調理法でベトナムの北部から南部までどこでも食べることができる定番の食材です。

そして、調理法に限らず、ほとんどのベトナム人は手作りのライスペーパーを好みます。

カントー省南部の路上屋台で、「工場で作ったものより絶対に美味しいから食べてみて?」とグエン ティ フエさんは私に焼きたてのココナッツ味のライスペーパーを勧めました。

フエさんは近くのトゥアン フン村で「バインチャン」と呼ばれるライスペーパーの生産者で、彼女のライスペーパーは昔から「ベトナムの米蔵」と呼ばれるメコンデルタで最高級品として知られています。

工場でもエビ塩やココナッツ、ドリアンなどの様々な味のライスペーパーを生産していますが、今でも手作りのライスペーパーを生産して生活している家族がいます。

「お客さんは村の手作りのライスペーパーを好みます。私たちが生産するライスペーパーは化学調味料を使用していない自然食品です。」とトゥアン フン村のライスペーパー生産者で3代目となるブイ ミン フィ氏は語りました。

フィ氏はライスペーパーの販売で1日に65ドルの収入があり、忙しい旧正月の時期には2倍稼ぐこともあります。

ベトナムでは、祖母が作ったようなフォー(麺)やバインミー(サンドイッチ)といった家庭料理を提供するファーストフード店は好ましく思われていません。

ライスペーパー生産は、ハ ティ サウ氏のような人々にとっては家族で引き継いでいく技術伝承が課題です。

最近、サウ氏は叔母から学んだ昔ながらの技術を娘を教えました。竹のマットで干す前に秘密のレシピで作った甘い生地を平たい皿に広げます。

家族全員で操業をしているので、83歳の母親が川岸で食器を洗う間、サウ女史の義理の息子は籾殻で火を起こします。 村は、以前は荒廃した田舎でしたが、今では流行りのカフェや携帯電話ショップといった店舗が軒を連ねており、他の職業も選べますが、サウ氏はライスペーパー生産を手放す気はありません。

「私は長い間ライスペーパーを生産してきましたが、別の仕事に変わろうとは思いません。」とココナッツが香る職場でサウ氏は言いました。